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【アガリの対応策】2022年09月2日
人前で演奏するときに緊張して「アガル」と言う問題は万人が共通に抱える問題ですよね。そこでミューズサロン講座では今までにメンタルトレーニング講座も何度か実施しましたし、脳医学博士の中村昭範先生に「音楽する脳を科学する」と言うタイトルで講座をやって頂いたことが2度ほどあります。以下の内容は15年前の2007年5月の中村先生の講座の内容に加えメンタルの面からも肉付けしたものです。
◆アガリ(緊張)の正体は交感神経
中村先生の医学的見地からのアガリ(緊張)の正体は交感神経なんですね。一般的には交感神経は車に例えるとアクセルで、副交感神経がブレーキとよく言われます。
交感神経が高ぶると脈拍、血圧、発汗などが 活発化します。それは緊張するとその症状になり、アドレナリンが増え、アドレナリンが出すぎると心臓がバクバク、血圧が上がり、手足が振るえ、汗をかきます。つまり頭がパニクル=アガリまくると言う事です。そしてこのアガリの対策は心のコントロール、交感神経と副交感神経のバランスにあり、と言う事です。
◆緊張しやすい人の特徴
1.自意識過剰 ・・・ 自分が見られていると過剰に意識してしまう
2.ええかっこしい・・ 失敗したらどうしよう、恥をかきたくない
3.逃げる ・・・・・ 失敗した自分を見たくない
1.自意識過剰とは自分が見られてることを必要以上に怖く感じてしまうと言う事です。子供のころに授業で教科書の本読みが当たったとき、突然声が震え出し、教科書を持つ手もブルブルと震えてしまったと言う経験、又はそんな人を見たことありませんか?これは他人の視線を必要以上に意識してしまうからなんですね。
2.ええかっこしいは失敗したところを見せたくない、恥をかきたくないと言う思いが強い人ですよね。もう何年もギターをやってるんだから下手な演奏を見せたくないと気負い過ぎるんですね。特に知った人が聴衆に多いと余計その思いが強くなりますね。知らない人ばかりだとその場限りの関係ですから気持ちが軽くなるはずです。だから昔から聴衆はみなカボチャだと思えと言う訳です。
3.逃げると言うのは失敗している自分を見たくないと言うことです。よく発表会のビデオを生徒さんにお渡しする時、「わあ、見たくないな」と言う方が多いです。それは自分では「あそこもミスった、ここも失敗した」などと上手く弾けなかったところばかり記憶にあり、全然上手く弾けなかったと思いがちなんですね。
メンタルトレーニング講座でもやりましたが、演奏を録画してもらい、後で映像を見て頂く『ビデオフィードバック』という方法があるんですね。そして、実際に映像を見た生徒さんは、必ずと言っていいほど『あれ? 思ったよりも悪くないですね』という感想になるんです。つまり、自己否定感が強くて、『緊張している自分』『失敗している自分』が頭の中でどんどん膨らんでしまうんですね。その原因は、緊張している自分を見たくないと言う思いが強いからなんです。
◆緊張(あがり)の克服法
◎不安・恐怖をなくしましょう
ポジティブ思考を持ちましょう。充分な練習による自信を持ち失敗を恐れないことが大事です。その為にも余裕のある曲を選ぶのも一つの方法です。
そして、聴いてもらう事を喜びや楽しみに変えていきましょう。
◎経験不足を解消しましょう
場数を踏むことが重要です。ワンコインコンサートや発表会などを利用して人前で弾く回数を増やしましょう。人前で弾くことを決めると練習量が増えます。そして、人前で弾くと緊張のため普段の練習の様には上手く弾けません。すると悔しい思いが残り、それが更なる練習につながります。この繰り返しが上手くなる最善の方法です。
また、イメージトレーニングでも補いましょう。メンタルトレーニング講座でもやりましたが、ステージに登場する時の自分の姿、ギターの持ち方、お辞儀の仕方を一流演奏家になったつもりで実際に練習してみましょう。野球のイチロー選手がバッターボックスに立ってバットを突き出し、スタンドまでボールをはじき返すイメージを持ってピッチャーに向かいます。このイメージを持つことが大事です。
◎気負い過ぎないようにしましょう
普段より上手く弾けるはずがないのだから普段の6割でよしとしましょう。決してええかっこしいにならないことです。
また、土壇場対策としては、副交感神経を優位にするために下記も重要です。
1.ゆっくり腹式呼吸をする・・・鼻からゆっくり吸い込みお腹を膨らませて、口からゆっくり息を吐き、リラックスしましょう。
2.首、手首、足首のストレッチをする・・・緊張するとこれら首の付く3つの部位が固くなったり、震えたりしますので、緊張してきたなと思ったらこれらの箇所をほぐしてやりましょう。
3.体を冷やさない・・・体が冷えると交感神経が優位に働くので、特に冬場は首、手など冷やさないことが大事です。