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【ギターの選び方】2022年08月13日

1)弾き易い楽器を選びましょう!

音がしっかり出て、弦高も適正な楽器を選びましょう。
つまり①鳴らし易く、②弾き易い楽器と言う事が基本です。
表板の材が松か杉かは弾く人の音の好みで決めて頂けば結構です。一般的には10~15万円クラスまでは杉材が多いですが、これは杉の方が松に比べると柔らかいために鳴る楽器を作り易いからです。弦高は低い方が弾き易いですが、標準的には12フレットに於ける6弦側で4.0mm、1弦側で3.5mmです。(フレット上面から弦下までの距離)弾き方のコントロールが出来る様になってくると6弦側3.5mm、1弦側3.0mmでも大丈夫です。
弦高の測り方

ネックが反ったり、ボディー(表板)が膨らんでいると弦高が高くなり弾き難くなります。
弦高が高いかな?と思ったらご相談ください。

2)音が出し易く、歌い易い楽器を選びましょう!

人にはそれぞれ出したい音のイメージや歌い方もこう歌いたいというイメージがあります。その音が出し易い楽器、自分が歌い易い楽器がその人にとっては良い楽器といえます。つまり気持ちよく弾ける楽器です。

諺に「弘法筆を選ばず」と言うのがありますが、これは裏返せば、極めた人はその持てる技術でどんな筆でも美しい字を書けますが、まだ弘法の域に達していない学習者は書き易い筆を選びなさいと言う事です。楽器で言えば弾き易く、歌いやすい楽器が良いと言う事です。
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3)自分の体に合った楽器を選びましょう!

手の大きさ、身体の大きさで弦長とボディーサイズを選ぶことが大事です。ショートスケールは鳴らないのではと言う心配をされる方がいますが、今では製作技術も進歩していてショートスケールも標準サイズと比べて遜色ない鳴りを持っています。
そしてショートスケールによる弾き易さのメリットはとても大きいものです。

①左手の指のツッパリが消えることで動きが楽に!

例えばG7のコードを押さえた時の右の写真で比較してみましょう。
1の指で1弦1Fを押さえ、3の指で6弦3Fを押さえます。650mmと630mmとではナット幅で2㎜、更に1F~3Fの距離で2㎜違いますので、1の指のツッパリにはっきりした違いが出ていますね。この指のツッパリがなくなることで指の動きがとても楽になります。
新G7比較文字入り

更にセーハがし易くなる、届かなかった押さえが届き易くなるなどのメリットがあります。

②ボディサイズの違いによる姿勢への影響

またボディーの大きさもギターを構える姿勢に大きな影響があります。
ボディサイズは製作家やメーカーによって多少違いがありますが、通常630㎜以下のギターはボディもやや小ぶりになります。下の左写真のように、ギターのボディーを両足の間に落としこめないためギターの角度が浅く、ヘッドが低く、遠くなっている方がいます。この場合、左腕が伸びて、左手首に負担が掛かっています。また、左肩が下がり、右肩が上がっています。この問題は630㎜や610mmなど小ぶりなギターで解決しやすくなります。
DSC06831SmallTrimmingモザイク2文字入りDSC06832SmallTrimmingモザイク文字入り

◎次に実際の体験談をお話いたします。

これはミューズの日記1の2008年2月8日のブログからの転記です。
「昨日あるお客様がギターの先生とギターを選びに見えました。そのお客様は小柄な女性で以前から何度か足を運んではいろいろと試奏されては悩んでいた方です。現在は標準サイズのギターを持ってみえるのですが、弾き易い630mmのギターをと言う事で加納木魂さんのギターを2本比べられていました。

そのAとBのギターを私やその先生が弾き比べするとAは柔らかく、甘く太い音で、Bは華やかに明るく鳴ります。最初は先生もBの方が楽器の持っているキャパシティが大きい感じがするのでBの方が良いのではないかとアドバイスされていました。私も同意見でした。
しかし、その女性が演奏するとAの方がしっかりした音が出て、演奏も自信のある、音楽的にも良い演奏になるんですね。
AとBの違いはボディーの大きさだけです。弦長も同じ630mm、ネックの幅もゼロフレットで50mm、12フレットで60mmと全く同じ大きさです。製作者も同じです。Aはボディーの横幅がスリムに作ってあります。縦寸法は全く同じです。これはお子さんや体の小さい方用に私が依頼して作って頂いたギターです。

先日も藤井敬吾さんの公開レッスンで姿勢と左手の構えを直しただけで左小指の力が何倍にも大きくなったお話をしました。つまり姿勢によって如何に楽に、小さな力で指先に大きな力を伝達出来るかという事です。この事が改めて私の脳裏に蘇りました。この女性の体にAのギターが合っていたんです。従って楽な、正しい姿勢で演奏できるんですね。その為に出てくる音が違うだけでなく、演奏内容、音楽まで違ってきたんです。一番の良い例が、その女性が「11月のある日」の後半の最初のフレーズでセーハをする難しい箇所をAのギターでは三弦の音もチャント出るのに、Bのギターでは出なかったんです。弦長とネックの太さは同じなんですよ。

最終的に先生も私もこの女性には断然Aのギターだと確信を持ち、ご本人もそれで決断されました。どちらかと言うとBのギターの音色の方が好きだと仰っていましたが、体に合っている事から来る、演奏のし易さ、出てくる音と音楽の違いからAを選ばれました。

改めて如何に体に合ったギターが大事かと言う事を再認識しました。ショートスケールは鳴らないとか、ボディーが小さいと鳴らないと言う思い込みは捨てなければいけません。体に合ったサイズのギターで、弾き易い事が音にも演奏にも影響すると言うこと、姿勢が如何に大事かと言うことを改めてガッテンした次第です。」

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