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【値段の違いはどこから来るの?】2022年08月24日

よく質問される事に「ギターの値段の違いは何から来るのですか?」と言うのがあります。確かにギターは2~3万円台から数百万円と幅がありますよね。弦は同じ6本だし、見た目にはあまり変わらないですからね。

 

1.一言でいえば

材料のグレードとそのコストの違い、そしてもう一つが需要と供給のバランスです。
数百万円~数千万円と言う価格帯はかつて名工と呼ばれた製作家が亡くなり、もう新作は手に入らなくなってから需要と供給のバランスから値が上がっていくケースです。また、年数が経過することによる木材の乾燥と弾き込みによる楽器としての熟成も絡んで楽器としての価値も上がってきます。
端的な例がヴァイオリンのストラディバリウスです。
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ギターでは何億円と言うものはありませんが、アントニオ・デ・トーレスが国内で4,500万円で取引されたと言う話もあります。

 

2.メーカー品と手工ギターの違い

先ず、メーカー品(量産品)と手工ギター(製作家による手作り品)とでは当然値段が違ってきます。メーカー品はある程度のグレードの材と、メーカーの設計と規格に基づいて品質の均一を目指して量産しますが、手工ギターはよりグレードの高い材を使い、1本1本その材の特性に合わせて削り具合を調整しながら最適な製作を行います。

 

3.ギターに使われる木材

ギターに使われる木材にはいろいろな種類がありますが、それぞれの材も産地によって呼び名も変わってきます。表板もドイツ松、ヨーロッパ松、シトカスプルース、エゾ松、裏板もハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)、マダガスカル・ローズウッド、インディアン・ローズウッドなど産地によって呼び名と質、価格などが変わってきます。
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更に、同じ種類の材料にもマスターグレード、AAA、AA、A、Bなどグレードによってコストが大きく違います。これは正目度、木目の細かさ、節無し、節ありなどでグレード分けされます。

 

4.乾燥がなぜ大事

また製材後どれだけ寝かせて乾燥させているかも重要です。10年以上寝かして乾燥した材は貴重ですし、高い価値があります。
木の細胞の約70%はセルロース(糖分)と言う物質で出来ており、これは水とよく結び付きやすく、木に含まれる水分の約30%が細胞と結合しており、これを「結合水」と言い、残りの水分を「自由水」と言います。まず自由水が蒸発し5年程度で含水率30%程度になります。その後結合水が蒸発してセルロース同士の間に入り込んでいた水分が減り、セルロースはより強固に結合すると言うわけです。
そうなることで木材内部の液状、樹脂分が酸化し結晶化して固体化し、安定すると同時により響く状態になります。枯れてきて良く鳴っていると言う状態になる訳です。
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手工ギター、つまり個人製作家のギターの価格が同じ製作家でも30万円、50万円、80万円、100万円とランクが分かれている場合がありますが、これは一言で言えば材料の違いで価格が変っています。決して30万円は手を抜いて作っている訳ではありません。尤も高いギターの方がバインディング(縁取り)が凝っていたり、ヘッドに彫刻がしてあったりと余分な手間が掛かっている場合もあります。中には糸巻きをロジャースにして100万円のギターが120万円と言う価格になる場合もあります。でも基本的には木材の元々のグレードと何年寝かせた材を使っているかが価格の違いに大きく拘わっています。

 

5.ギターの価格はどんどん上がる

皆さんもご存知のようにハカランダはローズより高い価格帯の楽器に使われる事が多いですね。これは材料コストが高いからです。しかし、ハカランダは1993年のワシントン条約により伐採、輸出入禁止のため入手困難で、最近は従来の4倍~5倍の値段に跳ね上がっており、通常ルートでの流通は殆どないと言っていいでしょう。また、ハカランダ以外にも昨今は木材不足(ウッドショック)で値段が高騰しています。製品価格を上げるか、価格をキープするには材料のグレードを落とすしか方法がない時代になってきています。これからどんどんギターの価格も値上がるでしょう。

 

6.人気の作家は高い

更に、楽器の価格を決定するもう一つ大事な要素に製作家の腕があります。製作家が10人いれば十人十色でそれぞれ違った楽器になります。人気の高い製作家の楽器は価格も高くなります。これはまさしく需要と供給のバランスになりますね。人気の作家さんになると数年待ち~10年待ちと言う事もあり、価格が上がっていきます。

 

以上、基本的には材料の違いがギターの価格決定にに大きく関わっていると言う事と、材料の違いが音の違いに大きく関係してくると言うお話でした。

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